はじめに
どんな言語もそうですが、学習や開発を進める中で「デバッグ」は欠かせない機能です。
本ブログでは、初心者向けに「VSCodeでPythonをデバッグする方法」を、設定ファイルの内容や実際のコード例を交えながら体系的に紹介していきます。
本ブログで得られる知識
- Pythonデバッグに必要なVSCodeの設定方法
- launch.jsonの作成と構成の意味
- ブレークポイントの使い方やステップ実行の操作方法
- 実際のサンプルコードを使ったデバッグの流れ
- よくあるトラブルとその対処法
VSCodeでPythonデバッグを始めるための準備
Pythonのインストール
Python公式サイトから最新の安定板をインストールします。
インストール方法は、下記のブログ記事を参照ください。
今回は現時点の最新安定板、Ver. 3.13 をインストールしました。
VSCode の基本設定(Pythonデバッグの準備)
Python拡張機能のインストール
VSCodeは拡張機能によって機能を強化できます。Pythonのデバッグには、Microsoft公式の「Python」拡張機能が必須です。
- ①拡張アイコンをクリック
- ②検索バーに「Python」と入力
- ③「Python」を選択し、「インストール」ボタンをクリック

「Python」をインストールすると、以下の関連した拡張機能も同時にインストールされ、デバッグ機能だけでなく、コード補完・Lint(潜在的な問題やスタイル違反を検出するツール)なども含まれるPython開発の基盤となります。
- Pylance
Python開発をより快適かつ堅牢にするための拡張機能 - Python Debugger
デバッガー本体 - Python Environments
Pythonの仮想環境管理をGUIベースで直感的に操作できるようにするためのツール
Pythonインタプリタの選択
拡張機能をインストールしたら、次にPythonインタプリタを選択します。これは、VSCodeがどのPython環境を使ってコードを実行するかを指定する設定です。
- インタプリタの選択手順
Ctrl + Shift + P
を押してコマンドパレットを開き「Python:インタープリターを選択」をクリック

- 今回インストールした、Python 3.13 を選択する

launch.jsonの作成と設定
VSCodeで本格的なデバッグを行うには、.vscode/launch.json
という設定ファイルを作成する必要があります。このファイルには、どのようにPythonコードを実行するかの構成情報を記述します。
launch.json
の作成方法- デバッグ対象のPythonフォルダを開きます
- 左側の「Run and Debug」アイコン(虫のマーク)をクリック
- 「launch.json ファイルを作成します」をクリック

- launch.json ファイルの内容(例)
{
// IntelliSense を使用して利用可能な属性を学べます。
// 既存の属性の説明をホバーして表示します。
// 詳細情報は次を確認してください: https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=830387
"version": "0.2.0",
"configurations": [
{
"name": "Python: Current File",
// "type": "debugpy" バージョン 2024.3.0(3月リリース)以降、
// "type": "python" から "type": "debugpy" へと指定方法が変更された。
"type": "debugpy",
"request": "launch",
"program": "${file}",
"console": "integratedTerminal"
// 上記以外のパラメタ(参考)
// "args": [
// "照幸",
// "42"
// ],
// "env": {
// "DEBUG_MODE": "true",
// "API_KEY": "your-api-key-here"
}
}
]
}
- 各プロパティの意味
プロパティ | 説 明 |
---|---|
name | デバッグ構成の名前(任意) |
type | 実行する言語の種類(debugpy=Python) |
request | 実行方法(launchは新規実行) |
program | 実行対象のファイル(${file} は現在開いているファイル) |
console | 実行時に使用するコンソール(integratedTerminal 推奨) |
args | 実行時に渡すコマンドライン引数(リスト形式) |
env | 実行時に設定する環境変数(キーと値のペア) |
以上で、基本的なデバッグの設定準備は完了です。
VSCode Python デバッグの基本
設定が整ったら、いよいよ実際のデバッグ操作に入ります。ここでは、ブレークポイントの設定からステップ実行、変数の確認まで、基本的な操作方法を紹介します。
ブレークポイントの設定
- 一時停止のポイントを指定
- コードの左端(行番号の横)をクリックすると、赤い丸が表示されます。これがブレークポイントで、実行が一時停止するポイントです。

- 条件付きブレークポイント
- 右クリック → 「条件付きブレークポイント」を選択すると、特定の条件でのみ停止させることも可能です。

デバッグの開始とステップ操作
- 「Run and Debug」ボタンをクリック ⇀ 「実行とデバッグ」をクリック、又はF5押下
- 実行が開始され、ブレークポイントで停止
- 以下の操作が可能になります
- ①続行(F5押下と同様)
- ②ステップオーバー(関数の中には入らず次の行へ)
- ③ステップイン(関数の中に入る)
- ④ステップアウト(関数の外に戻る)
- ⑤再起動
- ⑥停止(shift + F5)

変数の確認とデバッグコンソール
停止中は、左側の「Variables」パネルで変数の状態を確認できます。また、「Debug Console」では式の評価や変数の値を直接確認できます。
- 「Variables」パネル

- デバッグコンソール

例外処理のデバッグ
- try ブロックにブレークポイントを設定
except
に入るかどうかを確認

よくあるトラブルと対処法
デバッグが開始されない場合
- launch.jsonの構文ミスがないか確認
- Pythonインタプリタが正しく選択されているか
実行ファイルが見つからないエラー
program
のパスが正しいか確認${workspaceFolder}
を使って相対パスを指定する方法も有効
まとめ
VSCodeは、Python開発において非常に強力なデバッグ機能を提供しています。launch.jsonによる柔軟な構成、ブレークポイントやステップ実行による詳細なコード解析、そしてデバッグコンソールによるリアルタイムな評価機能など、初心者から中級者まで幅広く活用できます。